黒澤酒造「黒澤」|佐久穂町



佐久平を南北に走る小海線の車窓から、ひと際目を引く大きな瓦屋根の建物が黒澤酒造です。1858(安政5)年の創業以来、日本酒のほか、焼酎、リキュール、スピリッツなど、多様な酒造りに挑戦しています。歴史のある蔵だけに、古来の酒造りや昔懐かしい食卓を偲ぶ道具や器などを展示する資料館やギャラリーも設けています。



黒澤といえば「生酛」造り。培養した乳酸や酵母ではなく、自然に存在する微生物によって醸す製法のことで、非常に高い技術と手間ひまがかかり、美味しい生酛酒を造るのが難しいため取り組む蔵元は減少する一方でしたが、近年、この伝統製法が見直され、若手を中心に取り組む蔵が増え、日本酒愛好家からの評価もうなぎ上りになっています。
そのような動きが出るずっと、ずっと前から一途に「生酛」に取り組んできたのが黒澤です。信州生酛のパイオニアとしてようやく実を結び、長く応援してきた身としてはうれしい限りです。

黒澤酒造は兄の黒澤孝夫さんが蔵元、弟の洋平さんが杜氏を務める兄弟蔵です。素直で誠実な兄弟、育ちの良さを感じる上品さがたたずまいに現れます。孝夫さんが「くろさわ」を立ち上げ、洋平さんが杜氏になる時に「黒澤」に変更。クラシックな正統派の生酛造りから、モダンで酸先端の生酛造り、ヴィンテージものや樽熟成など、生酛造りを思い通りに操ることができる「自在な酒」を目指しています。


    

     



兄弟自ら自然派の酒米造りにも励むほか、自社農場では白瓜や茗荷、大根を育て、粕漬けや糀漬けにして販売していて、これがまた黒澤の酒によく合うのです。安心、安全、そして佐久穂の白樺林の美しい風景や風土を感じる味わい深い美味しさを追求している酒蔵です。

(画像は黒澤酒造様よりご提供いただきました/無断転載禁止)